浴室の掃除の基本ポイントは以下の3点です。そして、こと①と③は、カビ対策において密接な関係にあります。

①人間の皮脂や垢(皮膚の老廃物)といった酸性汚れを落とす
②石鹸カス、水垢といったアルカリ汚れを落とす
③カビ対策に浴室の乾燥を心がける

カビ対策において、湿度を下げることを意識する人を多いと思うのですが、それに加え、『人間の垢や皮脂といった酸性汚れを落とす』、『天井の掃除をする』というのも、重要なカビ防止対策です。
今回は、どうして、浴室の酸性汚れを落とすことや、天井の掃除をすることが、カビ対策になるのか、その理由と、浴室のカビ対策について書きたいと思います。

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カビの発生増殖の条件と対策

カビの発生増殖は、『湿度』、『温度』、『酸素』、『栄養源』です。

湿度

カビは湿度70%以上で活発になります。そのため、湿度60%以下を目指すことがカビ対策になると言われています。ギリギリラインの70以下ではなく、60を下回るように保つというのがポイントですね。

温度

カビは温度20℃から30℃をもっとも好みます。ただ、一般的には、0℃から40℃~50℃ぐらいまでは活動できると言われ、一般家庭でカビが死滅する温度に浴室を保つのは不可能です。

酸素

カビも酸素が必要な生命体ですから、酸素をなくせば死滅しますが、温度同様、一般家庭では対策のしようがない要因です。

栄養源

ライオン(株式)の研究で、浴室のカビの栄養源は、入浴時に、人の体から流された皮脂や垢(皮膚の老廃物)であることが分かりました。石鹸カスは、栄養源とはいえない結果に終わったようです。
2000年代前半に、この研究が発表されるまで、浴室の上方、天井まわりに生えるカビの栄養源が、はっきりしていなかったのですが、人の入浴により、天井のカビまで、増殖するのに栄養が得られることが分かりました。

>> 参考資料; LION 公式サイト 研究トッピックス『浴室の防カビへの新たな挑戦』

よって、どんな家庭でもできるカビ対策は

①浴室の乾燥を心がけ、湿度を下げる
②カビの栄養源を断ち切るために、人間の皮脂や垢(皮膚の老廃物)を掃除する

という2点になります。
どうして、カビ対策において、浴室の乾燥のほか、人の皮脂汚れや皮膚の老廃物(垢)を掃除することも重要なのか、理由を理解していただけかと思います。

 

なぜ天井にまで……?

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現在は、入浴でシャワーを使う環境も当たり前。そのため、皮脂や垢が水とともに飛び散って、思わぬ場所に付着します。また、体の表面から出る皮脂が、入浴時に、浴槽の湯面に浮き、その皮脂が湯気とともに浮上して、浴室の上方の壁や天井などに付着することで、カビの栄養源となっているのではないかという推測する研究者もいるようです。

目視が難しいぐらいわずかなカビであっても、天井から下に向かって胞子を撒き散らしているのだとしたら、床のカビ取りを一生懸命やっても、天井まわりの掃除をしないと意味がないことになります。

 

カビ対策1;浴室の湿度を下げる

24時間換気

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2003年以降、一般的な新築マンションでは、24時間換気システムの設置が義務付けられています。
これは機密性の高いマンションでシックハウスといった問題への対策ですが、浴室の湿気対策としても24時間換気は、かなり有効です。
24時間換気とシックハウスの問題は、いろいろ意見もありまし、数年が経過すると24時間換気は必要なくなるという意見も多いのですが、こと、窓がないマンションの浴室においては24時間換気を付け放しにしておくことも、カビ防止対策となります。

 

月に一度はフィルター掃除をして、換気機能を十分に発揮させる

浴室換気扇の類のフィルターは、掃除しないと、埃が水分を含み、真っ黒い塊の汚れとなります。
フィルターにこの汚れがついていると、十分な換気乾燥が行えませんから、月に一度は掃除します。
大して汚れていない場合は、弱アルカリ性や中性洗剤で洗ってあげればよいです。
汚れがひどい場合はナチュラルクリーニングであれば、先に、セスキ炭酸ソーダでつけおきしてから洗ったほうがよいでしょう。

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フィルターは網の目になっているので、ブラシでこすり洗いすることになりますが、それほど強い網ではないので、力を入れすぎると傷みも早くなります。酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を使うのも悪くはないと思うのですが、汚れが埃と水分なので、より強い洗剤を試す前に、アルカリウォッシュを試してください。
洗濯でも、掃除でも、対象物の耐久性を鑑みると、必要以上に強い洗浄剤を使う必要はありません。

もし、フィルターに、こすり洗いが通用しない、カビ汚れが付着しているようなら、アルカリ剤では落ちません。そのときは、酸素系漂白剤(過ぎる炭酸ナトリウム)に漬け置きし、カビの除菌漂白を試みます。
合成洗剤を使っている方は、カビ取り剤を使用してください。

 

入浴後、浴室乾燥運転2時間でも

浴室に、浴室乾燥機能がついている場合は、入浴後、2時間程度、乾燥運転することでも浴室を乾燥させることができます。

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窓を長時間開け続ける

24時間換気も、浴室乾燥もない場合、窓を開けっぱなしにして、浴室の通気性をよくするのもカビ対策になると言われます。もっとも、あくまで浴室の乾燥という観点の対策なので、セキュリティといった他の観点は考慮しない方法ですから、家庭環境によっては難しい場合もあると思いますが。

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ひたすら乾拭き

上記の方法のどれも取れない、あるいは、どの方法も取りたくない場合は、掃除の際、浴室の乾拭きを徹底します。マメさが必要になりますが、浴室の湿度対策には有効な方法です。
掃除という観点から、浴室の乾燥を心がけるとなると、この方法を紹介することになるわけです。

参考;入浴後、水切りワイパー(スクイーズ)を使うのもお勧め
番外編の鏡のウロコ取りにも登場したのですが、入浴後、水切りワイパー(スクイーズ)を使うのもお勧めです。柄を取り付けたり、はずしたりできるタイプの製品だと、使う場所によって、柄を長くしたり、短い柄のものとして使ったり、重宝します。

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浴室の鏡を長持ちさせるためにも必要になるものですし、水切り対策に、浴室にスクイーズを1本常備しておくのも、良いのではないかと思います。

もちろん、過去記事に書いたように、床用のワイパーを利用して拭き掃除するのも、天井掃除や壁掃除を楽にする方法のひとつです。
ただ、浴室に常備されているお掃除用品ではないので、『今日は掃除するぞ』という気持ちにならないと、浴室に連れていかない道具でもあります。道具が、その場所、常備品だと、お風呂から出るとき、さっと目についた部分の水切りもしやすくなりますしね(*^_^*)

鏡のウロコ汚れ落としに関しては、以下の記事を参考にしてください。

鏡のうろこ汚れの落とし方(基本編) ☆彡 お風呂掃除の番外編

 

カビ対策2;カビの栄養源を断つ

目の前のカビ取りだけに懸命になるのではなく、カビの栄養源となる浴室の汚れを徹底的に掃除してください。もちろん、天井まわり、壁まわりの掃除もしたうえで、浴室の乾燥を心がけます。

浴室の掃除の仕方については、過去記事を参考にしてください。

ナチュラルクリーニング実践お風呂編(その6) ☆彡 お風呂掃除のファイルナルステップ 天井と壁周り、床と排水口

使用頻度の低い換気システムにも注意

浴室に、24時間乾燥がついていて、それらを利用するという方は、換気扇内部も乾燥していると思うのですが、問題は、システムがついているのに、ほとんど運転されず、飾り物と化している場合です。

内部の清掃ができる換気システムならよいのですが、我が家の室内換気がそうであるように、ふつうに外せるのは、フィルターだけというケースも多いです。

そのため、この場合、まずは、浴室の手が届かないところまで届く、くん煙タイプの防カビ剤を使い、状況が改善するか、しないかを確認するのがよいと思われます。状況が改善するのなら、カビ発生の原因は、天井まわりにあるということですから、今後、そのあたりの掃除と乾燥に注意すれば、カビの増殖は、軽減されるはずです。

また、あまり浴室の換気システムを使っていなかったとしても、カビの温床になる恐れがありますから、時々、換気システム周囲の拭き掃除や、フィルターの掃除もしてあげましょう。

 

セスキ炭酸ソーダ 1kg

酸素系漂白剤

ルック おふろの防カビくん煙剤 5g

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