防カビのアロマ活用術(その1)~(その4)までは、自家製アロマ防カビスプレーのお見本レシピをもとに、精油選びのポイント、ブレンドのポイントについて、お話ししました。

5-1

今回は、防カビのアロマ活用術最終回。
お見本レシピにも出てくるエタノールの役割や、防カビ剤の効果的な使用タイミングについてのお話です。

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エタノールの真菌への対応

無水アルコールと消毒用アルコール

ナチュラルクリーニングでは、消毒用エタノールスプレーを殺菌除菌用途の拭き掃除に利用します。
エタノールは、真菌(カビ)にも効果があります。
ただ、エタノールは、揮発性が高い(蒸発する速度がはやい)ため、奥底の根を絶やすというわけにはいかず、拭き掃除をした瞬間、表面上の真菌に効果があるだけで、防カビ剤としての効果は期待できません。

たとえば、カビの一種である水虫菌(白癬菌)をエタノールで治すことができないのは、真菌が皮膚内部に浸透してしまっているからです。

掃除でも、クロカビなどがタイルの目地などに浸透してしまっている場合は、エタノールで拭いても、奥のカビを滅することも、防カビ効果を持続させることもできずに、揮発してしまいます。

カビの除去そのものには、酸素系漂白剤、塩素系漂白剤が用いられます。
対象物の奥まで入りこんでしまった真菌を漬け置き状態で、時間をかけ、殺菌し。また、仮に、真菌を根絶やしにしても、一度、ついてしまったクロカビの黒い色などは、落ちないため、漂白剤で漂白するという役割もあります。

参考;酸素系漂白剤と塩素系漂白剤
1-3酸素系漂白剤

塩素系漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウムが主成分です。
漂白力が強いので、染料まで脱色してしまうことがあり、色柄物には使用できません。また、強いアルカリ性なので、綿・麻・ポリエステル・アクリル素材のみに使えます。

一方、酸素系漂白剤の成分は過酸化水素や過炭酸ナトリウムです。白物にはもちろん色柄物も傷めないという特徴があります。

殺菌力に関しては、塩素系漂白剤のほうが強いです。ただ、強い作用を持つものは、それだけ人体に害をなしますから、両者は時と場合によって、使い分ける必要があります。

カビ掃除においても、まずは酸素系漂白剤で試し、それでもダメなら塩素系という順番で行います。
二度手間のように思えますが、酸素系漂白剤で、一度、真菌にダメージを与え、剥離しやすくしているため、次に塩素系漂白剤での掃除の効率が上がります。

酸素系漂白剤と塩素系漂白剤を混ぜたら?

両者とも、酢やクエン酸も含めた酸性の洗浄剤と混ぜると、有害ガスが発生するため危険です。
酸素系漂白剤と塩素系漂白剤を混ぜても、両者が反応を起こしてガスを出しますが、このガスは人体には無害なものです。

ただ、両者の成分が分解してしまうため、どちらも漂白剤として作用を失い、役に立たなくなります
必ず、酸素系漂白剤と、塩素系漂白剤の掃除は、別々に行いましょう。

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>>さまざまな酸素系漂白剤

>>さまざまな塩素系漂白剤

 

精油を使った掃除用レシピのエタノール濃度について

精油を使ったスプレー剤のレシピの多くに無水エタノールが登場します。

エタノール濃度が低い場合のレシピ

精油は水に溶けにくいという性質があります。
自家製アロマスプレー剤のレシピのうち、無水エタノールの希釈率が低いものは、精油を溶かすことと、ある程度の防腐作用が目的です。

たとえば、100mlの精製水に対して、5mlから10mlと低い希釈率が低いレシピでは、『精製水(あるいは水道水、ミネラルウォーター)だけでも構わない』という記述が付与されるケースも珍しくありません。

これはエタノールの除菌殺菌力は、さほど重要視せず、精油の作用のほうで、何らかの目的を達成するためのレシピだからです。

アロマ・スプレーの場合、たとえば50mlの精製水に無水エタノールを5ml程度いれた場合、1ヶ月程度はもちますが、精製水だけで使った場合は2週間程度で使いきる必要があります。

使用期限がある自家製品は、どんなものでも、早めに使いきるに越したことはありません。
仮に無水アルコールを入れたとしても、使用期限が『2週間』と案内されることが多いのは、精製水を使った場合のレシピに合わせていれば、間違いないからです。

エタノール濃度が高い場合のレシピ

一方、エタノールの除菌リキッドスプレーなど、精油の作用とあわせて掃除に存分に活かしたいというタイプのレシピは、エタノールの濃度が高くなります。

アロマ防カビ剤のお見本レシピは、無水アルコール6、精製水4という割合ですね。
もうひとつ例にあげると、NHK出版から出ている『手作り洗剤レシピ 岩尾明子著』でも、除菌スプレーのレシピは無水アルコール120ml、無水アルコール80mlとなっています。
半分の量の100mlでは無水アルコール60ml、精製水40mlという同じ割合です。

>>参考文献、手作り洗剤レシピ 岩尾明子著

ここで一度、市販の消毒用エタノールの濃度を認してみましょう。

 

市販の消毒用エタノールの濃度

5-7

ナチュラルクリーニングでは、消毒用エタノールスプレーをそのまま、除菌殺菌効果を持つ洗浄剤として拭き掃除に利用します。
無水アルコールのほうが、作用効果が高そうに感じますが、日常的な掃除の場合は、無水エルコールは使用しません。というのも、無水アルコールでは揮発性が高すぎて、掃除効果が発揮できないからです。

5-4消毒用エタノール裏

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小型の精密機器の掃除に使われる場合もありますが、ある程度の大きさがある家電の外周部の拭き掃除などでも、一般的に使われるのは希釈されたエタノールです。
ただ、エタノールは引火性です。
消毒用エタノールもおよそ8割がエタノール。
トイレ掃除では、そのまま使ってもよいのですが、台所など火気がある場所での掃除では注意が必要となります。

と、ここまで読んでいただくと、エタノールの除菌殺菌力も利用した自家製お掃除用スプレーのレシピで、無水アルコールの濃度が6割程度に抑えられている理由に察しがつくかと思います(*^_^*)。

精油を使った自家製レシピでは、エタノールの作用を利用するにしても、より多くの場所でスプレー剤が使えるよう、市販の消毒用スプレーよりも数割エタノールの濃度が低いレシピが一般的です。

また、無水アルコール6割のレシピでも自家製品は早く使いきるに越したことはありませんが、2ヶ月程度はもちます。

>>さまざまな無水エタノール商品

>>さまざまな消毒用エタノール製品

 
 

防カビ剤の効果的な使用タイミング

さて、防カビ剤は、いったい、いつ使うのが効果的でしょうか?
カビの増殖を抑えるために、防カビ剤を使うのですから、『これからカビが増殖するぞ』というタイミングで、カビを防ぎたい場所に噴射するのがよいということになります。

たとえば、浴室の例を考えてみます。

カビがもっとも増殖タイムを迎えるのは、お風呂に入り終わった後からです。
湿気たっぷり、温かい空気、栄養源となる人の皮脂汚れ、垢汚れもたっぷりとクロカビが増殖するのにもってこいの環境が整っています(~_~;)
カビにとってはまさにパラダイス。

カビが好む環境については過去記事がありますので、興味がある方は、そちらもごらんになって頂ければと思います。

浴室のカビ対策  ☆彡 お風呂掃除の番外編

そのため、お風呂に入り終わり、浴室の湿気をざっと拭き取ったあと、防カビスプレーを気になる場所に噴射してあげるのが良いです。

お風呂に入った後、カビ以外にもたくさんいる雑菌もエタノールでしっかり除菌。
そのあと、精油の抗菌、抗真菌作用を持つ成分が浸透して、真菌の増殖を抑制してくれます。

翌日、お風呂掃除するときに、防カビ剤も一緒に洗い流すことになりますから、クローブのような肌への刺激が強い精油を使っていても、大丈夫です。

1週間に、1度の使用でよいと思いますが、心配なら、週に2度ぐらい撒いてあげればよいと思います。

水周りではない場所に、自家製アロマ防カビスプレーを使いたい場合は?
5-6精油

以前の記事にも書きましたが、精油を4%で使うスプレー剤レシピは、水周りの除菌殺菌を前提している場合が多く、水周りでない場所へは作用が強くなってしまうため、精油の割合を減らすレシピがお勧めです。

たとえば、精油の割合を80滴に40滴に減らしたら2%の防カビスプレーができます。
4つの精油の分量も、半分程度に減らしてあげれば良いことになります。

ベースはエタノール6割ですから、通常の水拭きよりも断然渇きが早いですが、火気の心配がない場所という条件付き、かつ、より高い速乾性を求めるなら、消毒用アルコールを使うか、エタノール濃度を上げる選択もできます。

まとめ

精油を用いた自家製ナチュラル洗剤、あるいは自家製ナチュラル化粧品の類のレシピを1から開発するとなると、敷居が高くなりますが、今回、その1からその5で見てきたように、一冊、気に入った精油のレシピ本を買って、そのレシピの中身を検証していくと、自分なりのアレンジができるようになります。

これから、掃除にくわえ、いろいろな精油レシピもご紹介していきたいとなと考えているので、興味がある方は楽しみにしていてくださいね(*^_^*)。

精油関連参考文献

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