その1では純石鹸分(脂肪酸ナトリウム・脂肪酸カリウム)を成分とする無添加石鹸について書きました。

お肌に優しい石鹸洗濯、まずは石鹸の特徴を知ろう ☆彡 ナチュラルクリーニング実践洗濯編(その1)

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でも、実は、石鹸洗濯は、無添加石鹸だけでは上手くいきません。
今回は、石鹸洗濯を成功させるために必要になるアルカリ助剤について書きたいと思います。

 

脂肪酸ナトリウム6割、残りの成分は?

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これはミヨシの『そよ風』という洗濯石鹸の粉末タイプです。
石鹸製品は、ミヨシ、エスケー、しゃぼん玉せっけんといった会社の製品が主流です。これらのメーカーは製品も類似の製品を数多く販売していて、洗濯洗剤だけではなく、歯磨きやシャンプーといった製品も手がけています。

>>ミヨシのさまざまな石鹸製品

>>エスケーのさまざまな石鹸商品

>>しゃぼん玉せっけんのさまざまな石鹸商品

前回、粉末タイプのエスケーの『うるおい 洗濯せっけん』を例に、ほぼ全成分が脂肪酸ナトリウムの無添加(純)石鹸を例にあげましたが、こちらの商品の成分は純石鹸成分の脂肪酸ナトリウムは6割。残り4割のほとんどをアルカリ剤(炭酸塩)が占めています。

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これから、石鹸洗濯を始めようと思う方が、本などで石鹸洗濯について調べると、『無添加石鹸では汚れが落ちないから、アルカリ剤(炭酸塩)配合の洗剤を買え』という記述を見かけることになります。

実際は、私のように無添加石鹸とアルカリ剤を別々に用意すること前提に無添加石鹸を買う人間もいます。
でも、これから石鹸洗濯を始める初心者は、自分で別々に用意して使うのは、とっつきにくく感じるため、アルカリ剤配合の洗濯石鹸が薦められるのです。

 

液体タイプの石鹸を利用する場合も、アルカリ剤は必要

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これも前回紹介したミヨシの「そよ風」という液体タイプの無添加石鹸。これは微香性ですが、無香料タイプもあります。ただ、石鹸成分は変わりません。純石鹸成分と水が、おもな成分である液体タイプの洗剤は、ほとんどの製品がアルカリ助剤を含まないため、アルカリ剤は自分で用意する必要があります。

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では、どうして前回紹介した脂肪酸ナトリウムの粉末石鹸、あるいは液体石鹸のように脂肪酸カリウムを主成分とする無添加石鹸では、アルカリ助剤が必要なのでしょうか?
今回は、その理由を書きたいと思います。というのも、アルカリ助剤への理解は、石鹸洗濯が成功するか、失敗するかのポイントでもあるからです。

 

シルクやウールは例外

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絹や毛といった繊維は、アルカリ剤に弱いという特性があるため、無添加石鹸だけで洗います。
そもそも、洗濯機でガシャガシャと洗うものではなく、自宅で洗うとしても手洗いが基本ですから、洗濯機を使うことが前提の日常的な洗濯物とは洗濯環境も違います。
これからお話するアルカリ剤を石鹸洗濯の補助剤として使う洗濯は、洗濯機を使う一般的な洗濯だと考えてください。

 

アルカリ助剤は金属石鹸(石鹸カス)の発生防止や、洗濯液の酸性化を防ぐ

石鹸洗濯で使われるアルカリ剤は

>>炭酸ソーダ(炭酸塩・炭酸ナトリウム)

>>セスキ炭酸ソーダ

です。両者は別物なので、注意してください。
これらについての詳細は後述しますが、アルカリ剤も、人の皮脂や垢汚れ、食べ物の汚れなど、酸性汚れを落とす洗浄剤としての作用があり、洗濯洗剤としても使われています。

ただ、石鹸洗濯において、補助剤として使われるアルカリ剤は、汚れ落としは石鹸が主であり、石鹸の洗浄力を最大限、活用するため、

『洗濯液の酸性化を防ぐ』、『金属石鹸(石鹸カス)の発生を抑える』

といった補助的な目的で用いられています。そのため、石鹸洗濯で使われるアルカリ剤は、『アルカリ助剤』といった表記がされるわけです。

 

アルカリ助剤は、洗濯液のアルカリ性(洗浄力)を保つ

衣類につく汚れの多くは酸性汚れです。酸性汚れは、アルカリ性の洗浄剤を使うことで中和して汚れを落とすことができます。そのためには、洗濯液が酸性化しないよう、アルカリ性に保つ必要があります。

衣類の汚れ落としをはじめると、アルカリ性だった石鹸洗濯液体が、汚れで酸性に傾いてしまうのです。すると、石鹸の洗浄力が急速に落ちてしまうことになります。
アルカリ助剤を使うと、洗濯液が酸性化するのを妨げます。つまり、アルカリ助剤を使わない時に比べ、洗濯槽の水をアルカリ性に保つ時間が長くなりますから、結果的に石鹸の洗浄力を維持しやすい環境になるのです。

アルカリ助剤は金属石鹸(石鹸カス)を防ぐ

水の硬度とは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなど値です。これら金属イオンは、石鹸と反応して、石鹸を洗剤を洗浄力のない金属石鹸に変化させてしまいます。この洗浄力のない金属石鹸が、いわゆる『石鹸カス』です。浴室用品にこびりつく白い石鹸カスも、金属石鹸ということになります。

洗濯における金属石鹸(石鹸カス)は、衣類に付着する白いカス汚れになったり、洗濯槽汚れの原因にもなったりします。洗濯槽の汚れは、カビの発生、悪臭の原因になりますね(~_~)。
ですが、アルカリ助剤を使うと、石鹸と金属イオンの反応を阻害し石鹸カスの発生を抑えます。結果的に、石鹸の洗浄力を維持するのに役立ちます。同時に、洗濯浴槽汚れ緩和にも繋がるのです。

参考;生活用水の硬度について
東京都水道局のWebサイトをあげましたが、都内でも硬度の値が数十から100以上を超える範囲があるように、水道水の硬度は、都道府県単位で計れるものではなく、地域によってバラツキがあります。

出典 東京都水道局 「水の硬度」より

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たとえば温泉場や石灰質の山地では、他地域より高い硬度の水が生活用水に使われている事例もあるでしょうし、国内では水の硬度が高いと言われる沖縄でも、30mg/lの地域もあれば、サンゴ礁の働きで形成された石灰岩の地層を水源するとする地域では、硬度が200mg/lを超える地域もあります。
図にあるように、水の硬度が高い地域は、汚れ落としで使う石鹸の泡立ちが悪くなります。逆に、カルシウムの陽イオンは、硬度が低い軟水に溶ける石鹸と化合物を作りやすくなり、これが金属石鹸(石鹸カス)です。

石灰岩質の間を長い歳月かけて通る硬水が生活用水に使われている欧米と違い、日本国内は、河川を水源とする軟水の利用が主流ですから、例外地域があるといっても、全体的にみれば生活用水は軟水中心です。
そのため、石鹸洗濯には金属石鹸(石鹸カス)の問題もつきまとうのですね。

 

石鹸洗濯に使われるアルカリ助剤は炭酸ソーダやセスキ炭酸ソーダ

石鹸洗濯で使われるアルカリ助剤のひとつは炭酸ソーダです。『炭酸塩』(炭酸ナトリウム)と表記されることも多いです。また、近年では、炭酸ソーダのほか、セスキ炭酸ソーダが使う方も増えました。

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炭酸ソーダ(炭酸塩・炭酸ナトリウム)

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炭酸ソーダは、ph11程度のアルカリ剤です。
後述するセスキ炭酸ソーダよりも、強いアルカリ性であり、セスキ炭酸ソーダが登場する前から、石鹸洗濯でアルカリ助剤として使われてきました。
素手で使うと、皮膚の表面がヌルっとした感じになります。これは、皮膚のタンパク質(角質)を溶かしてしまうほどの強さがあるアルカリ性だからです。つまり、手袋なしには使えないアルカリ剤ということになります。

セスキ炭酸ソーダ

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セスキ炭酸ソーダは、ph9.8のアルカリ剤です。
ph8.4の重曹と、炭酸ソーダの中間的な性質を持っています。重曹は水に溶けにくいという性質があるため、洗濯には向きませんが、セスキ炭酸ソーダも、基本的には素手で使える弱アリカル性の洗剤です。
(もちろん、肌荒れは人によっても差があり、重曹を洗剤代わりに使っても、肌あれする方は肌あれするため、違和感があったら、ゴム手袋を使う必要がありますが)

セスキ炭酸ソーダは、重曹と違い水に溶けやすく、重曹よりアルカリ度が高いですが、炭酸ソーダよりもアルカリ度が低い分、扱いやすいアルカリ剤です。そのため、洗濯のアルカリ助剤としても広く活用されるようになりました。

 

洗濯物の汚れ度合いによって使い分けるとよい

ただ、洗濯物の汚れがひどい場合は、洗濯液の酸性化も強くなりますから、セスキ炭酸ソーダでは、力不足といった場面も生まれます。
そのため、ミヨシの『そよ風』(粉末タイプ)のように、セスキ炭酸ソーダではなく、炭酸ソーダ配合の洗濯石鹸も売られているのですね。

炭酸ソーダ配合の石鹸も、その割合いは2割前後から4割前後までと幅があります。そのため、アルカリ助剤の割合が高い石鹸洗剤は、目に見えて汚れがひどい洗濯物に、割合が低い石鹸洗剤は、見た目の汚れがひどくない洗濯物に使い分けるのがよいといわれています。
また、液体石鹸洗剤は、ほとんどの製品は、アルカリ剤が配合されていませんから、別途、アルカリ剤を容易する必要があります。

前回紹介したエキケーの『うるおい 洗濯せっけん』のように水に溶けやすい粉末タイプの石鹸も出ているとはいえ、水溶性という観点からいえば、液体石鹸のほうが上です。

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液体石鹸は、石鹸成分の割合から粉末タイプより、洗浄力が落ちますが、タオルや、寝具のカバーなど、洗濯物によっては、水に溶けやすい液体石鹸のほうが使い勝手がよい場合もあります。そのため、私のように粉末タイプをメインを使っていても、液体洗剤も合わせて買っている人も多いです。
となると、液体洗剤用に別途アルカリ剤を用意しているので、粉末タイプでも、アルカリ剤配合にこだわる必要はなく、無添加石鹸でよいことになります。

粉末タイプでも無添加石鹸製品が多い背景には、AMAZONといたネット通販の力もあり、いぜんより、アルカリ助剤(セスキ炭酸ソーダや炭酸ソーダ)を手に入れやすく、液体洗剤を使っている方も多いからでしょう。

石鹸洗濯のポイントは泡立ちバロメーターとアルカリ剤

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石鹸洗濯その1の記事で書いたように、石鹸洗濯のバロメーターとなるのが泡立ちです。一度、泡立っても、すぐに泡立ちが消えてしまうような場合は、洗濯液が酸性に傾いてしまい、石鹸の洗浄力が足りない状態になってしまうからです。この場合、石鹸だけの問題ではなく、アルカリ剤が適切に使われているか、どうかも関係しています。

泡立ちをバロメーターに、水質や、洗濯物の汚れ度合いに応じて、アルカリ剤の種類、分量も適切に調整しないと、石鹸洗濯の効果は得られないということですね。
アルカリ剤に対する理解も、石鹸洗濯には非常に重要なので、かなり丁寧に書いたため、記事が長くなってしまいました。。。。今回は、ここで終わりにして、次回(その3)では、実践的な石鹸洗濯のコツや手順を書いていきたいと思います。

 

 

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