前回は、電気炊飯器のシェアトップ3の象印マホービン、パナソニック、タイガーの電気炊飯器の炊飯技術をメインに、3社それぞれの違いや特徴について、まとめました。

象印、パナソニック、タイガー、シェアトップ3の電気炊飯器比較【電気炊飯器のトレンドと選び方(第2回)具体的な炊飯方式PART1】

今回は三菱、東芝、日立など、シェアトップ3を追いかける大手メーカーの電気炊飯器のお話をします。

三菱電機は、他のメーカーと違った視点から、電気炊飯器を開発し、圧力炊きタイプの電気炊飯器を好まない一定層の支持が厚く、高級路線のモデルにも人気を博す商品を販売しています。

家庭用の電気炊飯器のシェアは高いとはいえない日立や東芝の電気炊飯器は、全体的に、他のメーカーで評価の高かった技術を、あれもこれも搭載したという、これといった独自性がない印象はあるものの、追う立場にある分、さまざまな機能を搭載した電気炊飯器を、同様の機能を持つ他のメーカーの製品に比べると、手ごろな価格帯で購入できるというメリットがあります。

目次

三菱電機:圧力炊きのご飯が好きではない方の選択肢になり得る技術を搭載したモデルで、シャッキリ派の満足度も高い電気炊飯器を開発

現在は各社モッチリやシャッキリを炊き分ける機能を搭載した機種も登場しているが、シャッキリ派には三菱の製品の評価が高い

三菱 電気炊飯器

 

前回の記事でも書いたのですが、日本人には、コシヒカリや、つや姫といった銘柄米が人気であることからも分かるように、日本人は、おかずと一緒に食べるご飯は、粘り気が強めで、モッチリとした触感のご飯が好きな方の割合が高いという特徴があります。

でも、現実には、もちもちのご飯よりも、粒が硬めのシャキっとしたご飯のほうが好みという方もいらっしゃいますし、汁を伴う丼ものや、液体の酢を混ぜる寿司飯には、モッチリよりも、シャッキリとしたご飯が向いているわけです。

圧力炊きは、銘柄米でなくとも、モッチリとご飯が炊き上げるのが得意。そのため、国内のIH炊飯器の主流派として、次から次に圧力炊き機能を搭載した電気炊飯器が開発され、これが主流となりましたが、三菱電機は、後者の需要や満足度を上げる製品を開発するために、圧力炊きを捨て、異なる視点から新たな電気炊飯器の開発に乗り出しました。

実際のところ、圧力炊きの電気炊飯器の開発に乗り遅れたという事情もあるのですが、圧力炊きではなく、米の吸水に着目して、シャッキリご飯から、モッチリご飯まで炊ける高級路線の電気炊飯器を開発、販売し、これが成功をおさめました。

ご飯の炊きあがりを左右する米の吸水に注目した

三菱 可変超音波

圧力炊きは、確かに、モッチリご飯が好きな方にとっては魅力的です。
ただ、どんなご飯を美味しいと感じるかは、個人差があり、粘り気が少ない、シャッキリご飯が好きな方もいます。
また、汁を伴う丼物、液体の酢を使う寿司飯は、粘り気が少ない、シャッキリとした炊きあがりのご飯のほうが好ましいです。

そこで、三菱は、圧力炊きを使わず、シャッキリご飯も、モッチリとした触感のご飯も炊くために、米の吸水に着目します。
米を炊く時、圧力をかけると、もっちりと炊ける理由のひとつは、米に圧力をかけることで、米の芯にまで、しっかりと水分が含まれる点にあり、三菱は炊飯の前の吸水時点で、ただ水に浸した時とは違い、しっかりと米の内部にまで水を浸透させる技術を開発します。

つまり、炊飯の前に、米に染みこむ水の量を調整することで、柔らかくモッチリとしたご飯や、硬めでしゃっきりとしたご飯を炊き分けるという機能を開発したのです。
この米の吸水時に使われる技術が超音波。いぜんは、一定の周波数(1秒間の振動)の超音波を使っていましたが、現在の主力製品は、強めや弱めなど、異なる周波数の超音波を使うことで、より、米の吸水を細かく、調整できるようになりました。可変超音波吸水とは、超音波の強弱を変化させるタイプの技術の名称です。

炊き分けモードが充実

ご飯の炊き分けメニューが多いということは、それだけ煩雑な技術が必要になりますから、電気炊飯器の価格帯が上がってしまうのですが、三菱の高級路線の電気炊飯器は、モッチリご飯が好きではない方、モッチリも、シャッキリも、炊きたい人たちの指示を受けました。

また、新興メーカーや、鍋製品などを出している他業界から、シャッキリ派向けの電気炊飯器も登場するなど、モッチリご飯だけでなく、シャッキリご飯も炊ける電気炊飯器の需要が高まります。

大手メーカーの上位製品の炊飯器が高価格帯になった要因の一つは、白米の炊き分けメニューが豊富になったことも関係しています。
数万円台のミドルクラスの主力製品は、柔らかめ、ふつう、固め(玄米や、おかゆ、炊き込みご飯などのメニューではなく、白米の炊き加減のメニューという意味)の3段階ぐらいですが、高価格帯の製品になると、7段階、10段階など、白米の炊き分けだけで、細かな制御ができる機種も登場しています。

三菱の上位機種は、米粒のかたさと、粘り気をかけあわあせた15通りもの白米炊き分けができるのが特徴です。

参考:モッチリや玄米炊きに拘りがある方は圧力炊きを選択するほうが無難

ただ、もっちり食感のご飯の王道技術は圧力タイプであり、三菱の電気炊飯器は、米の吸水とIHの火力により、ご飯を炊いているので、もっちりご飯に拘りがある方や、玄米を頻繁に炊く方は、圧力タイプで、炊き分けモードを搭載している電気炊飯器のほうが強い勝手が良いかもしれません。

玄米炊きをメインとした電気炊飯器の例を見ても分かるように、玄米炊きも圧力炊きのほうが無難です。



何だかんだ言っても、IH式の火力のみでは、圧力炊きと同じモッチリ感は出ませんし、玄米も、それを炊くことを前提にした専用機が圧力炊き技術を搭載しているということは、圧力炊きのほうが失敗が少なく、無難に美味しく炊きあがるからです。

三菱の電気炊飯器は、あっさりと、ご飯を炊きたい方の需要が高いということも頭の片隅に置いて、炊飯器選びに望むと良いと思います。

内釜技術のポイントは羽釜と炭

三菱電機の電気炊飯器の内釜の代表格は、炭素素材を使った内釜技術です。

『ご飯を炊く時、炭を入れると良い』という話を聞いたことがある方も、いらっしゃると思います。

炭は、水道水のカルキ臭や、米のヌカ臭さを吸着する特性がある上、炭のミネラル分が米に染みこんで、でんぷん分解酵素の働きがよくしてご飯の甘味を引き出す効果も期待できます。

さらに、炭は、高火力で熱すると、遠赤外線の効果が期待できるため、米粒を崩すことがないまま、米の内部まで、ふっくらと火を通すことができるというメリットもあり、炭の働きを利用した炊飯は、複合要素で米を美味しく炊き上げることができるのです。

三菱電機は、米の吸水時から炊飯時まで、米を美味しく炊き上げるのに有効な炭の働きに注目し、炭素素材を内釜に利用しているモデルが人気です。

純度99.9%の炭素素材を利用した『本炭釜』搭載モデルは5万円前後の商品で、価格帯が高いですが、備長炭素材をコーティングした内釜のモデルは2万円未満の製品が主流で、比較的、購入しやすい価格帯となっています。

また、三菱も、象印や日立同様、カマド炊きご飯を意識して、内釜の形状に羽釜タイプを用いた機種を販売しています。

三菱電機の電気炊飯器の人気商品

圧力炊きが不要だと感じる方には、選択肢として人気があるのが三菱電機の電気炊飯器です。

かつては、高価格帯の電気炊飯器のメーカーという印象がありましたが、近年は、他社も白米の炊き分けのメニューが多く、内釜に高価な技術を用いた高価格帯モデルを販売するようになったので、三菱電機の電気炊飯器だけが特に高いという印象はありません。

楽天は、メーカーごとの電気炊飯器の売り上げランキングも集計しているので、三菱の電気炊飯器の購入を検討している方は、三菱だけの人気モデルをチェックするのに役立つと思います。

参考>>三菱電機の電気炊飯器、売り上げランキング(週間)

参考>>三菱電機の電気炊飯器、売り上げランキング(デイリー)

蒸気レス電気炊飯も話題になった

蒸気レス 炊飯器

我が家もそうですが、マンション住まいですと、キッチンのなかで、電化製品の置き場所のカウター上部に木の吊戸棚があるという環境も多いのですが、そこに蒸気を含んだ電気炊飯器を置くと、戸棚への影響も気になりますし、他の料理を作っているときに流れた煙も相まって、蒸気が当たる部分の汚れが油分と混然一体となってしまい、掃除が面倒になったりします。

また、置き場の問題のほかにも妊娠中など、ご飯を炊く時の蒸気が出ないほうが良いという一定層の需要があることも確かで、こうした声にこたえた三菱電機の蒸気レスモデルの炊飯器も、話題になりました。

誰しもが望む機能ではないので、上位にランキングしていませんが、都市部を中心とするマンション世帯には、こうしたキッチンの間取りも多く、特定層を需要を満たす商品といえます。

参考>>三菱電機 蒸気レス炊飯器(楽天取り扱い商品一覧)

参考>>三菱電機 蒸気レス炊飯器(Amazon取り扱い商品一覧)

日立:人気の技術の基本機能を良いところ取りで、手に取りやすい価格帯のモデルを販売

圧力、スチーム、蒸気カットなど人気の機能を搭載したモデルが主力

日立 炊飯器

現在、電気炊飯器は、前回お話したシェアのトップ3(象印、パナソニック、タイガー)の製品が人気。
一方、圧力炊きを好まない層に好まれる三菱は、独自路線で追いかけるという印象です。

日立は、これらのメーカーを追いかける展開。そのため、どこかのメーカーの電気炊飯器で人気のある機能を、あれもこれも搭載したといった、ある意味、メーカーの特色に欠ける製品が多いともいますが、逆に、他のメーカーでも人気の、さまざまな機能を搭載した製品を、比較的、手に取りやすい価格で販売しているともいえます。

具体的には、象印の電気炊飯器ほど圧力調整が細かいとはいえませんし、パナソニックやタイガーの電気炊飯器のように、素材の旨味を引き出し、煮崩れを防ぐといった利点がある可変圧力技術も使っていませんし、パナソニックの電気炊飯器のスチームほど優秀ではありませんし、蒸気カットではあっても、東芝のように蒸気レスは謳っていません。

でも、モッチリとシャッキリも炊き分けやすい圧力とスチームという王道の技術でご飯を炊ける魅力はあり、一般的な電気炊飯器に比べ、蒸気の量も、かなりカットされています。価格帯を抑えている分、何だか、ちょっとずつ、どこかのメーカーの電気炊飯器の簡易版的な印象も否めないのですが、逆に、現在、ご飯を炊くうえで王道の基本技術を、比較的、手ごろな価格帯の電気炊飯器で利用できると考えると魅力ある機種といえます。

日立の電気炊飯器の人気商品

機種の種類も多くありませんから、楽天の売り上げランキングは週間しかなく、トップ3のみの表示でしたが、日立の電気炊飯器の人気商品を確認したい方もいらっしゃると思うので、一応、人気ランキングを掲載しておきます。

参考>>日立の電気炊飯器、売り上げランキング(週間)

話題になった『おひつ御前』

おひつ御前

日立の一般家庭向けの電気炊飯器は、他のメーカーの製品に比べ、種類も少なく、話題になることも少ないのですが、卓上への持ち運びを考慮した『おひつ御前』は話題になりました。

4合までの少量炊飯用の電気炊飯器で、つまるところ、IHの大火力でご飯を炊くタイプ。
圧力やスチームといった炊飯技術を搭載しているわけでもないので、どの家庭でも使いたいという電気炊飯器ではないのですが、持ち運びを前提としたり、卓上で使うことを前提とした炊飯器を探している方には、魅力ある機種です。

ご飯の味わい的には、圧力やスチームといった炊飯技術はなく、IHの火力のみでご飯を炊くタイプの炊飯器ですから、白米のモッチリ感は弱く、アッサリしたご飯が好きな方でないと難しいかもしれません。
レビューなどでは、『美味しい』という意見と、『まずい』という意見が混在しやすい電気炊飯器は、自分の好みのご飯を、よくよく考慮することなく、電気炊飯器を選んだ方も混じることから評価が二分します。

圧力やスチームといった炊飯技術で、お米に特性を持たせて炊くご飯が好きではなく、IHの火力だけで炊いた、あっさりしたご飯が好きな方は、この手の機種のご飯を美味しいと感じますが、日本人に多いモッチリ食感のご飯を好む方は、圧力系の機能を搭載したモデルを検討するのが無難です。

この機種は、電気炊飯器を食卓に持ち運んで使用することをコンセンプトに開発され、独特の形状をしています。

参考>>日立 おひつ御前(楽天取り扱い商品一覧)

参考>>日立 おひつ御前(Amazon取り扱い商品一覧)

東芝:電気炊飯器にも、『真空を足し算』して吸水時にも工夫し、可変圧力や炭の効果にも着目したカマド炊きの美味しさを追求

真空αテクノロジーと真空保温

東芝電気炊飯器

東芝も、日立同様、電気炊飯器は、他メーカーを追いかける立場にあり、圧力や可変圧力を使用した電気炊飯器が主力製品ですが、東芝の場合は、米の吸水に真空の独自技術を搭載しているという特徴があります。
テレビCMなどでも、『真空を足し算』というキャッチフレーズを使っていましたね。

『真空αテクノロジー』とは、米を水に浸す時、吸水工程で真空状態の圧力差を利用することで、米の内部まで、水をしっかり吸水させる技術です。
三菱は、一定の超音波や、異なる周波数の超音波を利用して、米の芯まで水を浸透しやすくする超音波、可変超音波技術を搭載していましたが、東芝は、この工程に、真空を利用したのです。

米の芯まで、しっかり吸水させると、炊飯時に米の内部まで熱が、しっかり伝わり、米のα化が促進されます。

米の炊飯時のα化とは、米の主成分であるデンプン質が水と熱の力で、やわらかく粘りきがある状態に変化することをさします。α化が促進された米は、もちもちとした触感のほか、米本来の甘味を引き立てるメリットがあります。

また、内釜に残る空気を抜く真空密閉は、保温時、米の水分の蒸発を抑え、長時間保温するお米が硬くなるのも防ぐという機能に役立てることもできます。

東芝の炊飯器の炊飯時の技術の要は、圧力炊きや、可変圧力炊きの機種です。かつては圧力炊きでしたが、近年は可変圧力炊きを採用した機種も販売しています。

可変圧力炊きについては、前回の記事のパナソニックのWおどり炊きの技術やタイガーの可変圧力で詳しく触れていますが、高い圧力と低い圧力を利用することで、炊飯時に、米粒の崩れを防ぎ、米の旨味を引き出すなどのメリットがあります。

他のメーカー同様、上位機種になると、白米の炊き分けモードの段階が増え、11種類もの炊き分けモードを搭載しているものもありますが、数万円台のモデルは、他のメーカーの同価格帯の機種同様、3段階のものが主流です。

たとえば、炊き分けが『本かまど 3段階(本かまど、しゃっきり、もちもち)』となっているものなどがあります。

内釜には備長炭や羽釜を採用

羽釜タイプの内釜は、象印や三菱の電気炊飯器にも採用されています。
羽釜のような高さがある釜は、内釜の上部に余裕があるため、IHの大火力による連続加熱や沸騰がしやすくなり、これにより生じた米の旨み成分を引き出しやすくなります。
カマド炊きのご飯の美味しさが、羽釜の高さにあるため、カマド炊きを意識した電気炊飯器には、羽釜タイプの内釜が採用さてています。
また東芝の電気炊飯器の機種のなかには、三菱の電気炊飯器の機種同様、炭の遠赤外線効果に注目したものもあります。

東芝の電気炊飯器の人気商品

楽天の売り上げランキングのなかには、メーカーごとの製品人気ランキングがあるため、東芝の電気炊飯器に興味がある方は、東芝の電気炊飯器のなかで、どんな製品に人気があるのかチェックするのに役立ちます。
デイリーは日々の売り上げなので、頻繁に上位が入れ替わりますから、週間のほうが総合的な判断に利用しやすいと思います。

参考>>東芝の電気炊飯器、売り上げランキング(週間)

参考>>東芝の電気炊飯器、売り上げランキング(デイリー)

炊飯方式のまとめと選ぶポイント

炊き分けモードを搭載している機種が主流になったがモッチリが好きなら、圧力機能を搭載した機種を選ぶのが無難

前回、今回と見てきたように、現在の電気炊飯器は、数万円台のモデルでは、一般的には、『ふつう』、『しゃっきり』、『もちもち』といった白米の炊き分けモードを搭載している機種が多く、さらに価格帯が高いモデルになると、10段階以上の炊き分けモードを搭載した機種もあります。

ただ、モッチリ炊きが得意なのは圧力なので、モッチリ食感のご飯に拘りがある方は、圧力炊き機能を搭載した機種のほうが使い勝手が良いといえます。
逆に、圧力炊きのような、モッチリ感に拘りはなく、むしろ、あっさりとした味わいのご飯を好む方は、圧力炊きを使わないタイプの電気炊飯器のほうが、使い勝手が良いと感じる傾向にあります。

あっさりが好きな方はIH式のみの電気炊飯器を選ぶという選択肢もあるが炊きムラが出やすい機種に注意

あっさりとした味わいのご飯が好きな方は、圧力やスチーム、米の吸水に関わる超音波や真空といった技術を搭載していない、IHの火力だけでご飯を炊く電気炊飯器をチョイスするという選択肢もあります。

こちらのほうがコストパフォーマンスは良いのですが、IHの火力のみでご飯タイプの場合、何らかの炊飯技術を搭載していない電気炊飯器よりも、炊きムラが出やすくなるという点は注意したいところです。
そのため、IHの火力のみでご飯を炊く電気炊飯器の購入を検討する際は、目的の機種の楽天やAmazonなどのレビューもチェックして、『炊きムラが出た』という意見があるか、ないかを確認し、炊きムラが出たという機種は、候補から外したほうが安全だと思います。