実は、私には長いこと、アンチDysonだった過去があります(^_^;)
それなのに、ダイソンの掃除機を使うようになったのは、単純にダイソンの掃除機の性能と使い勝手が良くなったからです。

その性能や使い勝手の向上には、さまざまな要素があるのですが、メインヘッドの改良も大きな要因のひとつです。

『掃除機のヘッドなんて、付属品』といった印象をもっていらっしゃる方は、ダイソンの掃除機のカタログをみると、びっくりするかもしれません(*^_^*)。

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ヘッドの技術に関するアピールが大きいからです。でも、これには理由があるのです。

ダイソン 掃除機

今回は、前回、お話ししたモーターが関わる『吸込仕事率』という掃除機の性能を示すJIS規格の性能テストの話と絡めて、ダイソン掃除機におけるヘッドの重要さについて触れておきたいと思います。

吸込仕事率

吸込仕事率とは?

吸込仕事率は、クリーナーの吸込力の強さをW(ワット)で表したもので、国内の掃除機の性能を測る代表的な指標であり、次のような条件でテストするようJISが定めています。

吸込仕事率

バルブを前回に状態で、掃除機のスイッチを入れると流れる風量は最大になります。

少しずつバルブを閉めていくと、風量が減り、掃除機内部の圧力は真空度があがります。

真空度(PaやmmH2O)とは、ゴミを浮き上がらせるのに必要な力をさし、風量(㎥/分)は浮き上がらせたゴミを運ぶ力をさします。

そして、0.01666や、0.1634など、実験環境の真空度に応じた数値をかけて計算された数値がW(ワット)で表されたものが、吸込仕事率となります。

国産メーカーのサイクロン掃除機は、4~500の数値が出るものも珍しくはありませんが、ダイソンの掃除機は高くても200程度の数値だといわれています。

(ダイソンは、途中から発売するシリーズの吸込仕事率の数値を非公表にしてしまったので、実際の数値が分からない機種もあります)

それなのに、どうして、ダイソンの掃除機は人気があるのでしょう?

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過去の私のように、アンチDysonが、ダイソンの掃除機を叩くため、決まって持ち出すのが、『吸込仕事率』の数値の低さですが、実際のところ、その数値は、現在の掃除機の良し悪しを測る指標としては、時代錯誤の産物になっています。

吸込仕事率は、掃除機のヘッドも、サイクロン技術も関係なし

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吸込仕事率の測定は、掃除機のヘッドをつけない状態で行われています。

要は、掃除機のモーターを回転させた状態で、どれぐらいゴミを吸い込む力があるかを数値化したもので、端的に言えば、掃除機のモーターのパワーを測るようなテストです。

もちろん、日本の家が、畳や絨毯の部屋が中心で、ヘッドのローラーが掃除機本体の吸引力を借りて回転していた時代の掃除機なら、吸込仕事率の数値は掃除機全体の性能を測るうえで、意味のある数値だったでしょう。

でも時代は流れています。

国産メーカーの予想を裏切り、紙パック式の掃除機よりも、吸込仕事率を上げるのが難しくて、普及しないはずだったサクロン掃除機全盛の時代がやってきて、コードレス掃除機が人気というご時勢です。

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出典>>ダイソン公式サイト コードレスクリーナーDyson V8テクノロジーページ

日本の家屋は、フローリングも多くなり、掃除機ヘッドのローラーも、ローラー専用のモーターがヘッドに内蔵されるようになっています。

フローリングは畳や絨毯に比べ、掃除機のヘッドが床面に傷をつけやすいです。

そのため、床面を傷つけず、なおかつ、集塵力のあるヘッドとするために、掃除機のヘッド開発にも力が入り、掃除機はヘッド自体が高性能化しています。

現在の掃除機のヘッドは、掃除機全体の性能を向上させるのに大きな役割を果たしているのに、掃除機ヘッドを外した状態で、本体のモーターの性能をチェックするようなテストで、掃除機の良し悪しを判断するのは無理があります。

ましてや、現在の掃除機はサイクロン掃除機が全盛です。

サイクロン掃除機は、サイクロン技術を無視して、掃除機の良し悪しを語れるはずもありません。

また、ダイソンは、国産メーカーの掃除機のように、吸込仕事率の数値を気にするような開発史は、ありません。

後述しますが、ダイソンは、コードレス掃除機の開発にも力を入れてきたため、おもにサクロン技術とヘッド技術の向上により、微細なゴミも吸引する掃除機全体の性能を上げてきました。

吸込仕事率の数値を上げるような技術で、性能向上を測ってきたわけではありません。

『吸引力が落ちない掃除機』は、笑い話から、笑えない話に変わった

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出典>>DysonBall『Animal+Fluffy』オンラインカタログ
(図は、ダイソンが国産メーカーのサイクロン掃除機のサイクロン技術が、自分たちの技術より低いと嫌味を言っている(苦笑)途中ページですが、表紙からヘッドアピールです)

 

十数年前、私を含め、国産メーカー・バンザイ人間たちは、『吸引力が落ちない』という宣伝文句を使うダイソンの掃除機を、『プププ』と笑っていました。

『ダイソンの掃除機は、吸引力は落ちないけど、もともと吸引力がない掃除機』という現実も、ヘッドが日本の家屋の掃除には向かない代物だという現実も存在したのに、イメージ戦略だけは抜きんでていたからです。

当時のダイソンは、少なくとも、日本の家屋掃除においては、イメージ戦略に、実力が追いついていない状態でした。

そもそも、ダイソンは、大理石のような硬い床面の屋内を、土足で闊歩する文化の国からやってきた掃除機です。

ヘッドも、日本の家屋には向いておらず、ダイソンの掃除機のヘッドを使って、日本の家屋のフローリングを掃除したら、フローリングが傷つくという声も小さくなかったのです。

ところが、しだいに、『吸引力が落ちない(サイクロン)掃除機)』という謳い文句が、国産メーカーのサイクロン掃除機に、重くのしかかる、まったく笑えない状況を生み出します。

国産メーカーのサイクロン掃除機が『疑似サイクロン』、『なんちゃってサイクロン』と失笑される存在に

紙パック式の掃除機に比べ、サイクロン式の掃除機は、吸込仕事率を上げるのが難しく、国産メーカーは、サイクロン掃除機は市場に受け入れられないと読み、サイクロン掃除機の開発に本腰を入れるのが、大幅に遅れることになりました。

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一方、ダイソンは時代を予測するのではなく、自らの手でサイクロン掃除機の時代を切り開きます。

プレゼンテーション能力が低い定型日本人の私としては、『そーゆーところは、ホント、すげぇな』と感心するほかありません(^_^;)

日本国内において、サイクロン式の掃除機全盛になったのは、ダイソンがサイクロン式掃除機の良いイメージを作り上げた結果という側面もあり、国産メーカーは、我も、我もと、市場で脚光を浴びるようになったサイクロン式の掃除機を相次いで発売するようになります。

ただ、国産メーカーは、サイクロン掃除機においては、完全にダイソンを追う立場です。

サイクロン掃除機において、『吸引力が落ちない』とは、どういうことなのかと言えば、掃除機内部で、ゴミや埃の類と、空気の分離能力が高く、目詰まりを起こしにくい優れたサイクロン技術を使っているということ。

今この時代、日本のメーカーが、特許を取られてしまった技術を、パクった製品など作れるはずがありません。

ダイソン掃除機の選び方【第2回】サイクロン技術からみる掃除機の比較

ダイソンのサイクロン技術について、ダイソンの掃除機選び第2回に書いているので、興味がある方は、そちらの記事をご覧になっていただけるとよいと思うのですが、国産メーカーはサイクロン掃除機を、ダイソンの技術に抵触しない技術で開発せざるを得ない状況になったのです。

もし、国産メーカーが、ダイソンよりも、ゴミの類と空気の分離に優れ、ダイソンより目詰まりをおこしにくいサイクロン掃除機を開発していたら、ダイソンは『吸引力が落ちない掃除機』なんて宣伝文句を引っ込めているはずです。

国産メーカーのサイクロン掃除機が、『なんちゃってサイクロン』とか、『疑似サイクロン』などと呼ばれるようになったのは、サイクロン技術において、ダイソンの掃除機を抜けないという現実があるからだと言えます。

それでも、ヘッドが砦

それでも、国産メーカーのサイクロン掃除機は、日本の家屋の掃除において、『ヘッド』では、ダイソンよりも優れていました(過去形)。

先ほど、掃除機のヘッド自体、高性能化が進んでいるという話をしましたが、現在の掃除機全体の使い勝手や性能は、本体の性能とヘッドの性能のバランスの上に成り立っているのです。

何だかんだ言っても、ヘッドが悪い掃除機は、使い勝手の悪い掃除機です。

実際、掃除機に対する不満は、使い続けているうちにヘッドの調子が悪くなってローラーの回転に支障をきたとか、ヘッドのパーツの摩耗が床を傷つけるようになったとか、ヘッド関連のトラブルが大きく関わっています。

実際に手で動かして使う稼働部のトラブルは、掃除の際に感じるストレス度も大きいのです。

最後の砦だった掃除機ヘッドまでも・・・・・・

ところが、ダイソンの掃除機は、ヘッドの改良も破竹の勢いでした。

ダイソンは、コードレス掃除機の開発にも力を入れています。

よくよく考えてみると、コードレス掃除機において、掃除機本体のパワー任せの掃除機の性能向上なんて、ナンセンス。

ある程度、大きな消費電力になっても問題がないコード付き掃除機と違い、コードレス掃除機はバッテリ駆動です。

コードレス掃除機の開発にも本腰を入れていたDysonが、掃除機本体のパワー任せの掃除機の性能向上ではなく、掃除機全体の性能を上げるために、ヘッドにも創意工夫を凝らし、微細のゴミの集塵効果を高める技術を追及したのも、当然の流れだったのでしょう。

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こうして、昨年(2015年)、ダイソンは『ソフトクリーナーヘッド』という新しい掃除機ヘッドを発表しました。

具体的なダイソン掃除機のヘッドの種類や性能については次回の記事にアップしますが、これ以降に発表されたダイソンの掃除機ヘッドは、本当に優れものです。

もう、日本の家屋に向かない掃除機ヘッドだと叩く理由もありません。今のダイソン掃除機のヘッドがダメなら、国産メーカーの掃除機ヘッドも、軒並みダメというほかないというのが現実です。

この頃になると、もう私もアンチDysonを続けるのが苦しくなってきました(^_^;)

とういより、コードレス掃除機がほしいと思った時点で、アンチDysonを続けるなんて無理な話でした。

コードレス掃除機は、電源がバッテリという制限があるため、掃除機本体の吸込仕事率はコード付き掃除機よりも低くなります。

もともと、その数値が低かったDysonの掃除機は、その数値が低くても、微細なゴミや埃をピックアップする性能を上げる技術を磨いてきたのです。

結果、ダイソンは、実感としての吸引力は、コード付きサイクロン掃除機と変わらない、コードレスのサイクロン掃除機のヒット商品も生み出しています。

掃除機のヘッドも高いですが

ダイソンJapanは、メインヘッドだけの一般販売はしていませんから、メインヘッドに問題があるときは、サポートを通して個人対応してもらうことになります。

ただ、Amazonには、ダイソン掃除機のヘッドを平行輸入しているお店もあり、ヘッドの価格の目安にはなります。

[ダイソン] Dyson Soft roller cleaner head ソフトローラークリーンヘッド[並行輸入品]

新品価格
¥12,350から
(2016/11/25 11:17時点)

[ダイソン] Dyson Direct drive cleaner head ダイレクトドライブクリーナーヘッド [並行輸入品]

新品価格
¥13,800から
(2016/11/25 11:17時点)

『ソフトローラークリーナーヘッド』と『ダイレクトドライブクリーナーヘッド』は、現在のダイソン掃除機の主力製品で使われているメインヘッドです。

他の高価格帯掃除機も含め、掃除機ヘッドの価格が上がったのは、掃除機のメインヘッドが、掃除機全体の性能を左右する重要なパーツとなっているからです。

コード付き掃除機に比べ、パワーが出しにくいコードレス掃除機なら、なおのこと、ヘッドは拘りたいパーツといえます。

このように、ダイソンの掃除機にとって、ヘッドは掃除機全体の性能を語るうえで、無視できない重要なポイント

だから、カタログでは、ご自慢のヘッドの話がたくさん登場するです。

長くなりましたので、今回はここまで。

次回は、ダイソン掃除機の具体的なメインヘッドの種類や、対応機種についての記事をアップします。

 

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