前回、防カビのアロマ活用術(その3)では、防カビのアロマ活用術(その1)でご紹介したレシピに登場する4つの精油(ティーツリー、クローブ、ペパーミント、グレープフルーツ)についてのお話をしました。

自家製アロマ防カビ剤の精油選びとブレンドについて考える ☆彡 防カビのアロマ活用術(その3)

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今回は精油や無水アルコールの希釈濃度についてお話したいと思います。

 

賦香率(希釈濃度)

賦香率

賦香率は、対象物に加える精油成分のパーセンテージ(割合)、希釈濃度をあらわしています。
たとえば、IFAではフルボディマッサージには3%、フェイシャルケアには1%といったふうにガイドラインを定めています。

参考;IFA

IFA(International Federation of Aromatherapists:国際アロマセラピスト連盟)は、世界で最古のアロマセラピストの団体です。アロマテラピストの非営利団体は、ひとつではなく、いくつもあるのですが、もっとも歴史がある組織がIFA。そのため、アロマに関する業界では、ガイドランの策定などで力をもっています。

ちなみに、いぜん、クローブ精油の記事で、IFRA(International Fragrance Association)という組織が登場したのですが、こちらはアロマテラピーに限った団体ではなく、香料の工業規格団体。特定の個人企業云々という団体ではなく、国家間レベルでの組織ですから、アロマ業界の団体組織とはまったく違った存在です。

 

前回、防カビのアロマ活用術(その3)では、スパイス系のクローブやシナモン精油は、すぐれた抗真菌作用を持つオイゲノールという成分が8割以上を占めているということを着ましたが、オイゲノールや香料、香水、薬品など、さまざまな製品に使われているため、アロマ云々という次元の話ではない香料工業系の標準化団体でも、安全性や取り扱いなど、さまざまなガイドラインが策定されているのです。

精油の一般的な賦香率

希釈濃度はガイドラインを定めている、どの業界団体の内容を根拠にするかなどで違いが出るため、書籍においても数値にバラつきが出ますし、製品によっても違いがあります。
たとえばIFAなら、洗顔料は0.1%~0.5%、化粧水は0.1%から1%、ボディオイルなら1%~3%が適量といった具合です。

掃除の場合、肌へ直接つけるものではありませんから、スプレー剤の多くは1.5%から3%の間で作られています。精油レシピが掲載されている書籍も、ほとんどのスプレー剤が3%以下の賦香率のレシピを掲載しています。

ただ、水周りの除菌殺菌などといった用途のスプレー剤の場合は、一般的に4%まで賦香率をあげられます。
水周りの掃除は、どこかの時点で、水が流されることになりますし、水分を含んだクロスで拭き取りする場面も出てきますから、通常の掃除用アロマ・スプレーより、じゃっかん希釈率が高いのです。

ドロッパー

精油のビンについているドロッパーは1滴が0.05mlになるよう設計されていますから、80滴なら4ml、4%の希釈濃度です。
前回、アロマ活用術(その3)で、私がお見本レシピを「水周りの掃除前提だ」というようなことを書いたのは、100mlに対して80滴の精油が使われているからです。

アロマ防カビスプレーお見本レシピ
掃除用アロマ・スプレーのレシピが掲載されている書籍などで、精油の濃度は4%以下(多くのレシピは3%未満)になるようなレシピが掲載されている場合、とくに強い除菌殺菌、抗菌、抗真菌などの作用を目的とし、なおかつ水まわりの掃除、水拭き掃除もできるような場所を対象としていることが多いです。

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掃除用途でもクローブ精油は1%未満が目安
スパイスクローブ

写真はスパイスのクローブです。

クローブほか、シナモンなど、強い作用を持つフェノール類の成分を多く含んだ精油は抗菌、抗ウィルス、抗真菌作用にも優れていますが、強い作用を持つということは、肌刺激その他、良い影響ばかりではありませんから、掃除でも低濃度で使うことが前提になっています。
お見本レシピでも15滴(0.75ml)。1%未満に抑えられています。

 

ブレンドの比率:ブレンドファクター

精油はシングルで使ったほうが良い一部の例外はあるものの、数種類をブレンドすることで、相乗効果が期待できるという話は、前回、防カビのアロマ活用術(その3)で書きました。

精油をブレンドして利用する際、ブレンドのガイドラインとなるが、『ブレンドファクター』です。
アロマ関連の書籍では、略されて『B.F』と表記されることもあります。

ブレンドファクターは、複数の精油をブレンドする香りや作用に応じて、どれぐらいの割合でブレンドしたらよいのかを示すため、精油を1から7までの数値に分類しています。

他の精油とブレンドしたとき、香りが強く出るもの、作用が強いもの、高濃度で使うと皮膚刺激や神経への毒性などの問題があるものなどが、ブレンドファクター1、もっとも香りが穏やかで、副作用が少ないものがブレンドファクター7となります。

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基本的に精油のブレンドは、BFの大きな値のものより、BFの値が小さなもののほうを多めに使います。
また、目安はB.F1~2は強い精油は全体の最大6割までに留め、B.F3~5の中程度の精油は全体の最大8割までに留めます。

お見本レシピに登場する精油のB.F
レシピに登場する精油

グレープフルーツ BF4
ティーツリー   BF3
ペパーミント   BF1
クローブ     BF1

>>さまざまなグレープフルーツ精油

>>さまざまなティーツリー(ティートリー、ティートゥリー)精油

>>さまざまなペパーミント精油

>>さまざまなクローブ精油

 

お見本レシピはBF6~7がなく、BF1から4までを組み合わせて、80滴を構成しています。
80滴のうち15滴は、18.75%、31.25%
ともにBF1のクローブとティーツリーで37.5、BF3と4のティーツリーとグレープフルーツで62.5%という構成になっています。

今回はクローブを1%未満で使うという条件もありますから、ともにBF1の精油を15滴で揃え、両者より多めに使うBF3と4の精油を25滴で揃えた構成になっています。

精油のブレンド割合にも、ちゃんと意味があることなんですね。
いずれ記事にアップしていこうと思いますが、アロマ関連の書籍には精油の種類ごとにブレンドファクターも記載されているので、精油のブレンドファクターの数値がわかると、自分で精油を混ぜて使うレシピを作りやすくなります(*^_^*)。

きりがよいので、今回はこのあたりまでにします。
次回は、防カビ用アロマスプレーのレシピ関連の記事の最終回。
お見本レシピで使われた精油の解説は終わったのですが、自家製スプレーに使うエタノールの濃度、あと防カビスプレーの効果的な使用タイミングについてです。

参考文献など

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